「本当にくだらない。そんなことどうでもいい」
真っ直ぐに私を見る目。
痛いと感じるくらい、強く掴まれた手首。
“怒ってる”
そう感じた私は、黙るしかなくて。
「檜山はさ、俺のことどう思ってんの?」
心の中を見透かすような、鋭い瞳に、
「きっ!……」
“嫌いよ!”って、恥ずかしさに負けて、咄嗟に言いかけた。
だけど、一歩手前で踏み止まったのは、
私の手首を掴んだ翔の手が、微かに震えていることに気付いてしまったから……。
「……」
何てことのない顔をして、偉そうに話しているけど、本当はすごく緊張してるんだ……。
手から伝わる翔の気持ちに、胸がきゅうっと苦しくなる。
あまのじゃくな返事をしている場合じゃない。
ちゃんと言わなきゃ……。
もう一度伝えたくて、でも諦めようとした気持ち。
伝えることを許してくれるなら、私は――。
「……すき。今も……好き」
たった一言の言葉は、今まで口にしたどんな言葉よりも緊張して、涙さえ浮かんで来た。
だけどそれは、一番素直な私。
翔はそんな私に、満足そうに微笑んだ。



