13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


「何そんな怒ってんの? なぁ檜山っ!」

背中から聞こえる翔の声。

絵馬をかけた後、私は早々に神社の敷地内から外へ出た。

「勝手に人の絵馬、見るからでしょ!?」

前を向いたまま振り返りもせず、怒鳴るような声を返すけど、

本当は……違う。

翔に絵馬を見られることなんか、想定の範囲内で。

むしろ……だから、あんな願いごとを書いた。

翔が私の悩みを忘れたみたいに、あまりに普通な態度を取るから、思い出して欲しかった……。

なのに翔ときたら、絵馬を見ても驚いた顔をしただけで……何も言わない。

身長のことには触れない。

だから私は――。

「……」

そこまで考えたところで、思考が止まる。
それに合わせて、足を進める速度も遅くなる。

だから私は……?
私は翔に思い出させて、何を言って欲しかったの?

何を……期待していたの……?

心の中に鍵をかけて忘れようとした本心が、知らず知らずのうちに露になっていることに気付いて、私はとうとう足を止めた。


「檜山」

グッと近くなった翔の声が、私に追い付いたことを知らせる。