♪佳奈side♪
「何そんな怒ってんの? なぁ檜山っ!」
背中から聞こえる翔の声。
絵馬をかけた後、私は早々に神社の敷地内から外へ出た。
「勝手に人の絵馬、見るからでしょ!?」
前を向いたまま振り返りもせず、怒鳴るような声を返すけど、
本当は……違う。
翔に絵馬を見られることなんか、想定の範囲内で。
むしろ……だから、あんな願いごとを書いた。
翔が私の悩みを忘れたみたいに、あまりに普通な態度を取るから、思い出して欲しかった……。
なのに翔ときたら、絵馬を見ても驚いた顔をしただけで……何も言わない。
身長のことには触れない。
だから私は――。
「……」
そこまで考えたところで、思考が止まる。
それに合わせて、足を進める速度も遅くなる。
だから私は……?
私は翔に思い出させて、何を言って欲しかったの?
何を……期待していたの……?
心の中に鍵をかけて忘れようとした本心が、知らず知らずのうちに露になっていることに気付いて、私はとうとう足を止めた。
「檜山」
グッと近くなった翔の声が、私に追い付いたことを知らせる。
「何そんな怒ってんの? なぁ檜山っ!」
背中から聞こえる翔の声。
絵馬をかけた後、私は早々に神社の敷地内から外へ出た。
「勝手に人の絵馬、見るからでしょ!?」
前を向いたまま振り返りもせず、怒鳴るような声を返すけど、
本当は……違う。
翔に絵馬を見られることなんか、想定の範囲内で。
むしろ……だから、あんな願いごとを書いた。
翔が私の悩みを忘れたみたいに、あまりに普通な態度を取るから、思い出して欲しかった……。
なのに翔ときたら、絵馬を見ても驚いた顔をしただけで……何も言わない。
身長のことには触れない。
だから私は――。
「……」
そこまで考えたところで、思考が止まる。
それに合わせて、足を進める速度も遅くなる。
だから私は……?
私は翔に思い出させて、何を言って欲しかったの?
何を……期待していたの……?
心の中に鍵をかけて忘れようとした本心が、知らず知らずのうちに露になっていることに気付いて、私はとうとう足を止めた。
「檜山」
グッと近くなった翔の声が、私に追い付いたことを知らせる。



