13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「え?」

どういう意味か分からず首を傾げると、檜山は少し顔を赤く染め、

「ーっ、うるさいっ!」

理不尽に怒って来た。

「はぁ?意味分かんね」

何も考えてなかったっていう意味も、怒られる理由も。

一体何なんだよ……。

必死に考える俺をよそに、檜山は巫女さんから絵馬を買って、置いてあったサインペンを手に取った。

そして、絵馬にサインペンが触れようとした……その瞬間、

「……」

檜山は顔を上げ、俺の顔をじっと見る。

「な、何?」

絵馬を書くためかがんだ檜山は、珍しく上目遣いになっていて、思わずドキッとした。だけど、

「見られてたら書きにくいんだけど」
「え、ああっ……ごめん」

眉をひそめて言われ、慌てて謝る。

何か期待していたような自分が、ちょっとだけ恥ずかしい……。

「翔は書かないの?」
「俺は書くほど願うことは……」
「あたし達、今年受験生なの分かってる?」

今度は檜山が、俺のことを「欲なさすぎー」と笑った。


そんなことを言われても、神様に頼んだ願いはもう既に、叶ってしまった。