「え?」
どういう意味か分からず首を傾げると、檜山は少し顔を赤く染め、
「ーっ、うるさいっ!」
理不尽に怒って来た。
「はぁ?意味分かんね」
何も考えてなかったっていう意味も、怒られる理由も。
一体何なんだよ……。
必死に考える俺をよそに、檜山は巫女さんから絵馬を買って、置いてあったサインペンを手に取った。
そして、絵馬にサインペンが触れようとした……その瞬間、
「……」
檜山は顔を上げ、俺の顔をじっと見る。
「な、何?」
絵馬を書くためかがんだ檜山は、珍しく上目遣いになっていて、思わずドキッとした。だけど、
「見られてたら書きにくいんだけど」
「え、ああっ……ごめん」
眉をひそめて言われ、慌てて謝る。
何か期待していたような自分が、ちょっとだけ恥ずかしい……。
「翔は書かないの?」
「俺は書くほど願うことは……」
「あたし達、今年受験生なの分かってる?」
今度は檜山が、俺のことを「欲なさすぎー」と笑った。
そんなことを言われても、神様に頼んだ願いはもう既に、叶ってしまった。



