13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「檜山?」

背中からかけられた聞き覚えのある声に、まるで何かで射ぬかれたみたいに体がビクッと反応した。

振り向かずとも声だけで、誰だか分かってしまう自分……。
それでも、今ここで会うなんて信じられなくて、ゆっくりと振り返ってみると、

「翔っ……」

そこにはやっぱり、思った通りの人がいた。

だけどその隣には、予想しなかった人の姿もあった。

「明けましておめでとう」

私に向かって優しく微笑んで挨拶してくれたのは……翔のお母さん。

「おめでとうございますっ」

慌てて頭を下げて挨拶すると、「大人っぽくなったね」と言われて、はにかんだ。


「こんな所で何してんの?」

「あ、えっと……都と約束してたんだけど、何か来れなくなっちゃったみたいで帰ろうかと……」

ふたりだけなら、「関係ないでしょ」とか、相変わらずな返事をしていたと思う。
でも、翔のお母さんの前でそんなことは言えなくて、正直に話してしまっていた。

翔は「ふーん」と、何か考えるような返事をした後、

「母さん、悪いけど先帰ってて。俺、檜山ともう一回行ってくる」