13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


「まだ起きないのっ!?」

お母さんのけたたましい声と、引っ張られた布団の隙間から流れ込む冷たい風が、目を覚まさせる。

「ん〜っ!休みなんだから、もうちょっと寝させてよ」

私も負けじと布団を引っ張って反抗すると、「もう!」という声と共に手元が軽くなった。

諦めてくれた……?

布団からそっと顔を出して、確認しようとすると、

シャッ!

眩しい光が目を眩ます。


「クリスマスなのに、予定ないんですか?」


カーテンを開けたお母さんは、嫌味な言葉を一方的に残して、部屋を出て行った。

嵐が過ぎ去った後みたいに、静かになった部屋。

「……余計なお世話だしっ」

私は布団を被り直して呟いた。


クリスマス……今日は12月24日で、正確に言えばクリスマスイブ。

去年はバレー部で集まったけど、そういうことを企画するのが好きだった先輩達は引退して……今年は本当に予定がない。

「……」

こんな日にぼんやり考えてしまうのは、あの日のこと。

今更後悔したって意味ないのに、「もしもあの時……」って思ってしまう。


どうしてあの時、怒っちゃったのよ……。