13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


身長差……?

唐突すぎる質問に、首を傾げてしまいそうになる。
だけど、聞いてきた本人はとても真面目な顔をしていて、きちんと答えなければならない雰囲気を感じた。

「……そんなの気にすんの、くだらなくない?」

それが、率直な意見。

俺は人より少し小さくて、身長のことで悩んだことは沢山ある。
でも、どんなに悩んだって、身長は伸びなかった。

身長差なんて、生まれ持ってきたものを気にしても仕方ない。

「そっか……」

その子は安心したように微笑んだ……かと思えば、すぐに驚いた顔をして、「あっ」と声を洩らした。

目は俺を見ていない。

見ている先は俺の……後ろ?

「っ……」

追うように振り返った俺は、息を飲んだ。


俺の真後ろに立っていて、気まずそうに目を逸らしたその人は、

檜山だった――。