13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「気持ち……伝えてないの?」

心配そうに言われた一言が、グサリと胸に刺さる。

俺は静かに頷いて、

「あいつに好きとか言うの、一生無理かも……」

つい弱音を洩らしてしまった。

すると、「翔くん」と名前を呼ばれて、ブレザーの腕がキュッと引っ張られ、苺先輩に視線を向ける……と、

「頑張れ」

苺先輩はとても優しく微笑んで、そう言った。

「っ……」

そんな顔……ずるい。反則。

「あー……、やっぱりあいつやめて、苺先輩にする。苺先輩可愛すぎっ!」

「えっ!?」

パッと手を離し、後退りまでする苺先輩。

「冗談、冗談」

手をひらひらと振りながら苦笑すると、苺先輩はホッとしたように肩を落とした。

可愛いと思ったのは本当なのだけど……それは言わないでおこう。

「でも、マジで西藤先輩とこのままだったら……俺、本当に苺先輩狙いでいくから」

フェンスから背中を離す俺を、苺先輩はじっと見る。

「俺も頑張るからさ……苺先輩も頑張れ」

「うん……ありがとう」

小さな返事。だけど、確かに頷いてくれたから、その返事を信じて俺は屋上を後にした。