「気持ち……伝えてないの?」
心配そうに言われた一言が、グサリと胸に刺さる。
俺は静かに頷いて、
「あいつに好きとか言うの、一生無理かも……」
つい弱音を洩らしてしまった。
すると、「翔くん」と名前を呼ばれて、ブレザーの腕がキュッと引っ張られ、苺先輩に視線を向ける……と、
「頑張れ」
苺先輩はとても優しく微笑んで、そう言った。
「っ……」
そんな顔……ずるい。反則。
「あー……、やっぱりあいつやめて、苺先輩にする。苺先輩可愛すぎっ!」
「えっ!?」
パッと手を離し、後退りまでする苺先輩。
「冗談、冗談」
手をひらひらと振りながら苦笑すると、苺先輩はホッとしたように肩を落とした。
可愛いと思ったのは本当なのだけど……それは言わないでおこう。
「でも、マジで西藤先輩とこのままだったら……俺、本当に苺先輩狙いでいくから」
フェンスから背中を離す俺を、苺先輩はじっと見る。
「俺も頑張るからさ……苺先輩も頑張れ」
「うん……ありがとう」
小さな返事。だけど、確かに頷いてくれたから、その返事を信じて俺は屋上を後にした。



