キィ……。
錆びて重くなった、屋上の扉。
ゆっくり押して開けると、冷たい風が体当たりしてきて、思わず目を閉じる。
風の収まりを感じて目を開くと、小さな女の子の姿があった。
その子はこっちを見ることなく、外の景色に体を向けたまま。
「苺先輩……?」
小さく呼ぶと、やっと振り返って、
「翔くん」
俺の名を呼んで、ニコりと微笑んだ。
でも、その笑顔の裏に隠した気持ちは分かってしまって、
「ごめん、王子様じゃなくて……」
申し訳ない気がして謝ると、苺先輩は少し顔を赤く染めて、首を横に振った。
苺先輩の隣に並んで、フェンスに背中を預ける。
すると視界には、ただただ青空が広がって、清々しくて気持ちいい。
「おめでとう、苺先輩」
「え……?」
ちょっと唐突すぎたみたいで、苺先輩が洩らしたのは、疑問の声。
「大学合格」
俺がニッと笑って続けると、「あっ」と小さく声を上げて、
「ありがとう」
優しく微笑んでくれた。



