13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


目に入ったのは、向かい側の校舎の屋上。

フェンスの内側から、外を見ている小さな人影が、ひとつあった。

「……」

顔までは見えない。だけど、それが誰なのかはすぐに分かって、

「……悪い」
「ん?」
「俺、ちょっと行くとこあった!」

友達に空のパックを押し付けて、走り出していた。


会って何を話すのか……はっきりとした会話が浮かんでいるわけではない。

でも、会って話すなら、今しかない――。

そんな思いが体を動かしていた。


「あっ、翔くん!」

階段を登っている途中。
かけられた声に振り向くと、数段下に中野先輩がいた。

「どこ行くの?」
「あ、ちょっと屋上に……」

答えると、中野先輩は目を見開いて、少し驚いた顔をした。そして、

「もしかして……苺?」

中野先輩の質問に、今度は俺が目を見開く。

「……ってことは、中野先輩もですか?」
「うん。そうだったんだけど……せっかくだから、翔くんにお願いしようかな」
「え?」
「ほら……苺、元気なくて、ね」

寂しげな笑みを浮かべた中野先輩に、何のことだか聞かなくても分かった。