13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


ガコンッ。

ボタンを押すと同時に聞こえた、落下音。

古びた自販機の取り出し口に手を入れて、買ったばかりのジュースを手にする。
「ココア」と書かれたブリックパックのそれは、じんわりと温かくて、冷えきった手に熱を与える。


意識せぬうちに、季節はすっかり“冬”と呼ぶに相応しくなっていた。



「はぁ……」
「どうしたんだよ?」

廊下を友達と歩きながら、つい溢れたため息。
俺は慌てて「何でもない」と言って、ストローに口を付けた。
流れ込んで来たココアは、かなりぬるい。

ため息の原因は……他でもない、檜山のこと。

自分は逃げているって気付いたはずなのに、未だに逃げ続けてしまっている。

藤原先輩との関係を、円満に終わらせたと教えてくれた檜山。
だったら、もう誰に遠慮することもないはずなのに……どうしてか言い出せなくて。

何もなく、だらだらと過ぎて行く時間と自分に、苛立たずにはいられなかった。


ほとんどなくなってしまったココアを、ズルズルと音を立てて飲みながら、窓の外をぼんやりと眺める。

空はどこまでも青くて、高い。

……って、あれ?