13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「さっちゃん、ありがとう。でも……ごめん。俺、好きな人がいるんだ」

静かに言うと、さっちゃんの表情はみるみるうちに沈んで、胸が苦しくなる。

「……檜山さん?」
「え?」
「好きな人って、檜山さん?」

さっきよりも震えた声で、聞かれた名前。
苺先輩の名前が出ることは予想出来ても、檜山の名前は想定外で、「何で……」と小さく漏らした。

「昨日の夜、一緒に外に出るとこ見ちゃったんだ……。付き合ってるの?」

必死に笑顔を作ろうとするさっちゃんが痛々しい。

俺が質問に対して首を横に振ると、ほんの少しホッとした表情を浮かべて、

「何で檜山さんなの?岡田くんと全然似合ってないじゃんっ……」

とうとう泣きながら、そう言った。

似合ってない……。

「確かに……そうなんだよなぁ」

ぶっちゃけ檜山は、好みのタイプからはかけ離れている。

理想は苺先輩。
小さくて、可愛くて、ふわふわした雰囲気の、守りたくなるような女の子。

それを考えれば、檜山よりさっちゃんの方が、遥かに理想に近い。
理屈で考えれば、檜山よりもさっちゃんを好きになるはずで……。