今日は班行動じゃないのに、どうしてこんな所にいるんだろう。
近くに、さっちゃんの友達がいる様子もない。
不思議に思いながらも、「ありがと」と、軽くお礼を言って友達を探しに行こうとすると……
「待って。ちょっとふたりで話せないかな……」
さっちゃんは、控えめに笑って言った。
向かったのはすぐ側の、比較的人の少ない路地。
俺の前を歩いて、なかなか顔を合わせようとしないさっちゃん。
俺だってそれほど鈍感ではないし、何度か経験もあるから、これから起こることの予想は何となくついていた。
だから、昨日の檜山の時ほどではないけど……緊張する。
でも、さっちゃんの方がもっと緊張していた。
「えっとねっ……」
足を止め、勢い良く振り返ったその顔は真っ赤で、
「あたしっ、岡田くんのことが好きなのっ!」
そう告げた声は聞くからに震えていて、全身に力が入っていた。
「……」
俺って最低だと思う。
さっちゃんはこんなにも真っ直ぐ俺を見てくれているのに、頭の中で俺が考えているのは、他の女の子のこと。



