13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


当然のように、きょとんとする私。だけど、

「檜山、力みすぎっ!」

笑いながら言われた言葉にハッとして、顔が真っ赤に染まる。

「う、うるさいっ!」

そんなの、私だって分かってるわよ。

あまりの恥ずかしさに、伏し目がちになる……と、

「どういたしまして」

目の前から聞こえた優しい声。

翔はにっこりと、人懐っこい笑顔を私に向けて、嬉しそうにしていた。

「っ……」

そんな笑顔……困る。

胸がギュッと苦しくなって、熱くなって……言いたい言葉が増えてしまう。

……好き。

“好き”って言いたい。
勢いとかじゃなくて、今度こそ……ちゃんと。

そしたら翔は、たぶん――。


「それと……ね……」

思いのままに動かした口。

あと一息、そんな所で私は言葉に詰まった。

月明かりに伸びた影。
それが不意に、現実を思い出させたから。

……だめ。言っちゃダメ。
だって私は――。


「……ううん。それだけ」



手の届かない時は、考えることなんてなかったこと。

手が届きそうになると、それが不安となって……邪魔をする。