体中が熱くなって、息も乱れて、まともに呼吸も出来ない。
でも、
「まだ……話終わってないっ」
やっとの思いで口にした言葉に、翔の手は私の頭から離れた。
今までのは前置きで、本当に言いたい言葉は、まだ言えてない。
あまのじゃくな私。
だから、心の中で思いながらも、いつもなかなか言えない言葉。
それを今日は、ちゃんと口にするって決めて来た。
「先輩と話せて、許してもらえたこととか……全部、翔のおかげ。翔にはすごく感謝してる」
自然と手に、力が入る。
私は小さく深呼吸して、翔に向かって言った。
「ありがとうっ……」
一言お礼を言っただけ。
なのに、すごく緊張して、力が入って。
無意識のうちに、翔のブレザーの袖まで掴んでいた。
聞こえるのは、波の音。
見えるのは、翔の驚いた顔。
「……」
流れる沈黙に、翔を見つめる私の顔は、だんだんと熱を帯びる。
何か……言ってよ。
心の中で思った時だった。
「……ふっ、ははっ!」
翔はいきなり、吹き出すように笑い出した。



