「私ね、先輩にすごく酷いことしたから、一生許してもらえなくても仕方ないって思ってたの。でも、無視みたいにされると……やっぱり辛かった。どうにかしたいって思うのに……自分じゃ何にも出来なくて……」
次第に震える声。
今すぐにでも泣き出してしまいそうで、翔にこんな姿を見られるのは、恥ずかしいって思った。
でも、やめない。
今、口を閉じたら、これ以上何も言えなくなる。
翔も私の気持ちを分かってか、私の方は見ず、海を見つめて聞いてくれていた。
「翔に言われて、やっと話すことが出来たの。ちゃんと話したら……先輩、笑ってくれた」
脳裏にあの時の先輩の笑顔が浮かんで、溢れるようにポロッと涙が零れた。
「っ……」
焦ってそれを拭おうとした時、
頭に何かが優しく乗った。
この感触も温もりも……知ってる。
頭の上にあるのは、翔の手――。
「……良かったじゃん」
波の音ばかりが耳に入る中で、翔の声が微かに聞こえて、私の涙は止まるどころか、勢いを増して零れ落ちる。
優しくしないで。
あんまり優しくしないでよ。
もっともっと、好きになる――。



