13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「ま、相手が檜山なのが残念だけど」

と、嫌味ったらしく笑った。

「……私だって」

小さく返事をしながら、不思議に思う。
いつもなら、こんなことを言われれば、胸がチクンと痛むのに……今日は平気。

それどころか、キュンとなる。

理由はきっと、翔の声色と笑顔が、とても優しいから。

本心からの言葉じゃない……って、分かってしまう態度だから。



「それでさ……話って何?」

何となく言葉を失って、しばらく黙って海を眺めていた私達。

その沈黙を破ったのは、翔の方だった。

「あ……えっと……」

話があると呼び出したのは、私。
だけど、あまりに穏やかな時間が続いたものだから、緊張を忘れかけていて。

話を急に切り出されて、静かな海が波立つように、私の心もざわついた。

身体中の血の廻りが、ドクンドクンと大きく感じて、気持ち悪い。

でも……言わなくちゃ。
今日こそ、ちゃんと。

決心した私は、スウッと息を吸い込んで、

「言うの、かなり遅くなっちゃったんだけど……藤原先輩と話したよ」

視線は海へ向けたまま、はっきりと告げた。