13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


余計な会話は一度もせず、切られた電話。

私は両手でケータイをギュッと握って、深く息を吐いた。

……やばい、緊張する。

電話だけでも、口から心臓が飛び出すんじゃないかってくらい緊張したのに、直接会って話すなんて……大丈夫だろうか。

絶対、大丈夫じゃない気がする……。

でも、もう逃げられない。
翔と約束してしまったからには、行くしかない。

よし、頑張ろう。

私は一歩、足を前に進めた。



ホテル一階の広いロビー。

噴水や観葉植物があって、綺麗に装飾されたその場所には、一般の宿泊者が幾らかいて。
何の用があってか分からないけど、うちの学校の生徒も何人かいた。

そして、ひとりがけのソファーに座って、ケータイをいじる男子。

そこには既に、翔の姿があった。


「呼び出したくせに遅い」

翔は私に気付くと、ケータイをパタンと閉じて、一言そう言った。

「……っ!翔が場所指定したんでしょ!」

咄嗟に言い返す私。

良かった……まだ普通に話せる。

自分の態度に、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、

「じゃあ行こっか」

そう言って翔は立ち上がった。