ドクンッ。
一度大きく跳ねる心臓。
怖い気持ちもあるけれど、名前を呼んでくれた……それだけのことがとても嬉しくて、私はゆっくりと体を動かした。
回る視界に翔が映ろうとした……その時、
「――岡田くんっ!」
誰かの声が聞こえたと思ったら、目に飛び込んで来たのは、翔の腕を取る女の子の姿。
さやか……ちゃん。
「班のみんなが一緒に写真撮ろうって。行こう?」
さやかちゃんは私には見向きもせず、とても可愛らしく微笑んで、翔の腕を引く。
「あ……うん」
少し戸惑った様子で、控えめに返事をする翔。
チラッとこっちに視線を向けるのが分かって、私は目が合う前にパッと顔を逸らした。
引き止めなかったのは私。
なのに、視界の隅から翔の姿が消えると、急に寂しくなった。
追いかけるように顔を向けると……
こっちを見ていたのは翔ではなく、さやかちゃんの方だった。
さやかちゃんは私をキッと睨んだ後、見せ付けるみたいに翔に笑顔を振りまいていた。
「……」
さやかちゃん、本当に翔のことが好きなんだ……。
だから、私の気持ちに気付いてる。



