13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


そこにいたのは、翔――。

それは本当に偶然で、翔は私に気付くことなく商品の棚を見ている。

どうしよ……。

今の私に、自ら翔に話しかける勇気はなさそう。だったら、早くここから立ち去らないと……。

そう分かっているのに、私の体は動かなくて。

吸い込まれるように、翔の横顔を見つめてしまっていた――。


だから、翔が私の視線に気付くのは、時間の問題だった。

案の定、翔はゆっくりとこっちに向いて、

バッチリ目が合った瞬間、

「……っ!!」

焦った私は、不意にクルッと回って背を向けていた。

バカだと思った。
本当にバカだと思った。

何で目が合ってから、逃げちゃうのよっ!?
これじゃあ、翔のこと避けてるみたいじゃんっ!

すぐ後ろにいるはずの翔。

どう……思っただろう。
絶対に気を悪くさせちゃったよね……。

今すぐ訂正しなきゃ、謝らなきゃ……って思うのに、怖くて振り返れない。

「どうしよう」って言葉でいっぱいになってる頭に、背中には嫌な汗。

焦りに焦って、キュッと目を閉じた私に、

「……檜山」

翔の小さな声が届いた。