そこにいたのは、翔――。
それは本当に偶然で、翔は私に気付くことなく商品の棚を見ている。
どうしよ……。
今の私に、自ら翔に話しかける勇気はなさそう。だったら、早くここから立ち去らないと……。
そう分かっているのに、私の体は動かなくて。
吸い込まれるように、翔の横顔を見つめてしまっていた――。
だから、翔が私の視線に気付くのは、時間の問題だった。
案の定、翔はゆっくりとこっちに向いて、
バッチリ目が合った瞬間、
「……っ!!」
焦った私は、不意にクルッと回って背を向けていた。
バカだと思った。
本当にバカだと思った。
何で目が合ってから、逃げちゃうのよっ!?
これじゃあ、翔のこと避けてるみたいじゃんっ!
すぐ後ろにいるはずの翔。
どう……思っただろう。
絶対に気を悪くさせちゃったよね……。
今すぐ訂正しなきゃ、謝らなきゃ……って思うのに、怖くて振り返れない。
「どうしよう」って言葉でいっぱいになってる頭に、背中には嫌な汗。
焦りに焦って、キュッと目を閉じた私に、
「……檜山」
翔の小さな声が届いた。



