翔とふたりで抜け出すなんて、亜耶に「出来るわけない」と言ったくせに、
いざ来てみると、一緒に過ごせる時間を期待している自分がいた。
クラスが違うから、それは容易に叶うことではないけど……。
一組のバスが隣に停まっただけで、ドキドキしながら窓の外を眺めたりなんかしちゃって。
私の気持ちは、行動に浮き彫りに現れていた。
修学旅行一日目は、特に何事もなく終わってしまって……
翔に近付けたのは、二日目のことだった。
それは見学の合間の、買い物の為のちょっとした自由時間。
「やっぱ、ちんすこうとか食べ物かなぁ?」
「うーん……普通のものって、楽しくなくない?」
私は亜耶と、後輩へのお土産を探していた。
「あ、ちょっとあっち見てくるね!」
何か良いものを見付けたのか、走って行ってしまった亜耶。
私はひとりその場で、並んだお土産を見ていた……けど、めぼしい物はなくて、
亜耶の所へ行こうと、何も考えずに振り返った。
すると、
「……」
偶然、真後ろに立っていた人。
その人を見た瞬間、私の体は石になったみたいに硬直した。



