13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「せっかく教えてあげたのに、そんな言い方するんだ?」
「…何だよ?」

少し警戒する翔に、私はニッと笑って見せた。

「せんせー…」

ふざけて先生を呼ぼうとする。
だけど、次の瞬間、

「檜山っ!」

翔は小声で私を叱って、

「っ!?」

手で私の口を塞いだ。

翔が近い…。
急に顔が熱くなる。

「…分かったよ、話すから…チクんなよ」

諦めた様に言う翔に、私は勢い良く何度も頷く。
すると、翔は手を離した。

「…何赤くなってんだよ?」
「翔がっ…口塞ぐからでしょっ!」

あなたが近かったから…なんて、とても言えない。

「それより、何かあったの?」

翔の手に握られた携帯を見て、もう一度話を戻す。

「あぁ…」

言葉に詰まる翔。

「話してくれるって言ったよね?」
「…」
「チクるよ?」

私が追い打ちをかけると、翔は一度ため息を漏らして、口を開いた。

「先輩から…メール来ただけ」
「先輩…?」

私の頭に真っ先に浮かんだのは、中学時のバレー部の先輩。
だけど、それは間違いだとすぐに気付いた。

「そっ、先輩」

頷く翔の顔は少し赤らんでて、
はずかしそうにしていたから…。