「せっかく教えてあげたのに、そんな言い方するんだ?」
「…何だよ?」
少し警戒する翔に、私はニッと笑って見せた。
「せんせー…」
ふざけて先生を呼ぼうとする。
だけど、次の瞬間、
「檜山っ!」
翔は小声で私を叱って、
「っ!?」
手で私の口を塞いだ。
翔が近い…。
急に顔が熱くなる。
「…分かったよ、話すから…チクんなよ」
諦めた様に言う翔に、私は勢い良く何度も頷く。
すると、翔は手を離した。
「…何赤くなってんだよ?」
「翔がっ…口塞ぐからでしょっ!」
あなたが近かったから…なんて、とても言えない。
「それより、何かあったの?」
翔の手に握られた携帯を見て、もう一度話を戻す。
「あぁ…」
言葉に詰まる翔。
「話してくれるって言ったよね?」
「…」
「チクるよ?」
私が追い打ちをかけると、翔は一度ため息を漏らして、口を開いた。
「先輩から…メール来ただけ」
「先輩…?」
私の頭に真っ先に浮かんだのは、中学時のバレー部の先輩。
だけど、それは間違いだとすぐに気付いた。
「そっ、先輩」
頷く翔の顔は少し赤らんでて、
はずかしそうにしていたから…。



