13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


大好きな体育の時間じゃなくて、給食を食べる昼休憩でもなくて、バレーが出来る部活中でもない……。

部活後の放課後。

それが、私の一番好きな時間だった。


その日も変わらず、ドキドキする心を笑顔で隠して、

「翔くん、帰ろっ!」

男子達と話していた彼の肩を、ポンッと軽く叩いた。

その瞬間、ニヤッと嫌な笑顔を浮かべる周りの男子達。

「何よ」と、ムッとしながら、翔に視線を移すと……

彼は何だか、バツの悪そうな顔をしていた。

そして、


「あのさぁー、檜山。お前と帰るの、俺嫌なんだけど。ほら、お前ってデカいし、見下されてるみたいでムカつくんだよねっ」


え……。

翔の口から出た言葉に、私の頭の中は真っ白になった。

何……どういうこと……?

私が「どうして」と、理由を聞こうとする前に、

「翔ってば、ひっでー!檜山さん傷付いてんじゃん!」

そう言ってケラケラと笑う周りの声が耳に届いて、やっと状況を察した。

私とのこと、からかわれてたんだ……。

顔を赤くして、「うるせーっ!」と反論する翔の姿が、何よりの証拠。