「呼びに来てくれたから、そのお礼!」
ニッと笑って言った翔に、胸がキュッと締め付けられる。
いきなりこんなことされたら困る……。
どう対応していいのか、分かんないじゃない。
素直な気持ちが顔に出ていそうで……でも、周りにはバレー部のみんながいて、
「なっ……投げたら潰れるかもしれないでしょっ!?」
いつもの“私”を装おうと、必死に憎まれ口を絞り出した。
なのに、
「あ、ごめん」
珍しく一度で謝られ、拍子抜けした私は、思わず「え……」と声を漏らす。
「何?」
「いや……」
そんな風にされたら、怒ってしまった私がおかしいように見えてしまう。
……ううん、私がおかしい。
今言わなきゃいけない言葉は、他にあって。
それは――。
「……あり……がと」
自分でも、聞こえた自信がないくらいに、小さな声。
だけど、翔は満足そうに笑った。
胸が苦しい、息が詰まる。
身体中から気持ちが……“好き”が溢れそうになる。
「翔、あのね……話したいことがあるの」
後先なんて、考えずに出た言葉。
もう我慢は出来ない……って思った。



