13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「呼びに来てくれたから、そのお礼!」

ニッと笑って言った翔に、胸がキュッと締め付けられる。

いきなりこんなことされたら困る……。
どう対応していいのか、分かんないじゃない。

素直な気持ちが顔に出ていそうで……でも、周りにはバレー部のみんながいて、

「なっ……投げたら潰れるかもしれないでしょっ!?」

いつもの“私”を装おうと、必死に憎まれ口を絞り出した。

なのに、

「あ、ごめん」

珍しく一度で謝られ、拍子抜けした私は、思わず「え……」と声を漏らす。

「何?」
「いや……」

そんな風にされたら、怒ってしまった私がおかしいように見えてしまう。

……ううん、私がおかしい。

今言わなきゃいけない言葉は、他にあって。

それは――。


「……あり……がと」


自分でも、聞こえた自信がないくらいに、小さな声。

だけど、翔は満足そうに笑った。


胸が苦しい、息が詰まる。

身体中から気持ちが……“好き”が溢れそうになる。

「翔、あのね……話したいことがあるの」

後先なんて、考えずに出た言葉。

もう我慢は出来ない……って思った。