私は茂みの方へと近づく。
消して強い光ではなく、弱々しい光。
だけど周りが暗い為、目立って見える。
「…」
そっと覗き込むと、頭が見えた。
誰かが座っている。
それが誰だか、私はすぐに分かった。
「翔…?」
「!?えっ!?あっ!!」
トサッ
私が声を掛けると、驚いた翔は何かを手から落とした。
地面に落ちたそれを見て、私は光の正体を知る。
携帯電話…。
「檜山かよ、ビビらせんなって」
翔は携帯を拾い上げてはたく。
「携帯持ち込み禁止じゃなかった?」
「分かってるよ、だから隠れてんじゃん」
「隠れてる?全然隠れてなかったし」
「えっ!?」
「それ」
私は翔の手の中の携帯を指差した。
そして、茂みの中に入って翔の隣に腰を下ろす。
「…?」
翔はどうして隠れられていなかったのか分からないらしく、表にしたり裏にしたりして見ている。
その姿が可笑しくて私は笑う。
「画面が光ってるの、夜は手で覆うとかしなさいよ」
「あ、あぁ…」
私が指摘してやっと分かったらしく、翔は頷いた。
「何か急用だったの?」
「え…」
「隠れて携帯いじってるから…」
「…檜山には関係ないし」
翔の態度に少しカチンと来た。



