13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


私は茂みの方へと近づく。

消して強い光ではなく、弱々しい光。
だけど周りが暗い為、目立って見える。

「…」

そっと覗き込むと、頭が見えた。

誰かが座っている。
それが誰だか、私はすぐに分かった。

「翔…?」

「!?えっ!?あっ!!」

トサッ

私が声を掛けると、驚いた翔は何かを手から落とした。
地面に落ちたそれを見て、私は光の正体を知る。

携帯電話…。

「檜山かよ、ビビらせんなって」

翔は携帯を拾い上げてはたく。

「携帯持ち込み禁止じゃなかった?」
「分かってるよ、だから隠れてんじゃん」
「隠れてる?全然隠れてなかったし」
「えっ!?」
「それ」

私は翔の手の中の携帯を指差した。
そして、茂みの中に入って翔の隣に腰を下ろす。

「…?」

翔はどうして隠れられていなかったのか分からないらしく、表にしたり裏にしたりして見ている。
その姿が可笑しくて私は笑う。

「画面が光ってるの、夜は手で覆うとかしなさいよ」
「あ、あぁ…」

私が指摘してやっと分かったらしく、翔は頷いた。

「何か急用だったの?」
「え…」
「隠れて携帯いじってるから…」
「…檜山には関係ないし」

翔の態度に少しカチンと来た。