「迷子!親とはぐれちゃったみたいでさ……」
困った表情で、繋いだ手の先を見る翔。
そういうことか……。
店番に来れなかった理由と、さっきキョロキョロしてた理由が繋がって、私はふっと微笑んだ。
「その子、私が預かるよ」
「えっ?」
「親、見付からないんでしょ?放送して呼び出してもらうから」
「あぁ!」
翔の頭の中には、“放送”という考えはなかったのか、「なるほど」って感じの声を上げた。
「お姉ちゃんと一緒に、お母さん探そっか」
しゃがんで「おいで」と手を差し出すと、小さなその手は翔を離れて、私のもとへ。
素直に聞き入れてくれて良かったと、ホッとしながら私は、また立ち上がった。
「じゃあ檜山、悪いけどあと頼む!」
「うん」
店番へと急ぐ翔を見送って、私は女の子の手を引いて歩き出した。
迷子のその子はとても良い子で、不安な表情こそしていたものの、泣き出すことはなかった。
でも、本当はとても寂しかったのだろう……。
生徒会の人が呼び出ししてくれてすぐ、迎えに来てくれたお母さん。
その姿を見た瞬間、女の子は泣き出した。
何度もお礼を言ってくれたお母さんに、私は「私じゃないですよ」と言って、笑った――。



