13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


姿を見た……それだけで、私の心臓はドクンと跳ねる。

落ち着かせるように息を吐いて、私は翔の元へ真っ直ぐ歩いて行った。


キョロキョロと、しきりに周りを見ている翔。

「……翔、翔っ!」

私は腕を掴んで呼んで、その視線を自分へと向けさせた。

「檜山……」

少し見上げて私を見る、翔の顔にドキッとする。

「みっ、店番サボって何してんのよ!?」

平常心を装おうとした声は、見事に裏返って、翔は少し笑った。

それによって、私の顔は更に赤く染まりそうになるけど……。

あれ……?

私が掴んだ腕とは反対側の、翔の手。

その手の先には……小さな手が繋がれていて、

「……その子、誰?」

翔の体を壁にして、ひょっこりと顔を出したのは、4、5歳くらいの女の子。

真っ赤になった顔に、潤んだ目、濡れた頬。
ついさっきまで泣いていただろうことは、聞かなくても分かる。

翔は一人っ子で、妹なんていないはず……。

まさか……。

「誘拐っ!?」
「んなわけねーだろっ!」

ちょっとふざけた回答は、何かが飛んで来そうな勢いで否定された。