13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


……で、現実はというと、

「部長、これはどこに置いたらいいんですか?」
「えっと、それはもういらないから……とりあえず部室に持ってって」

「佳奈ー、こっち手伝ってー」
「はーい!今行くっ!」

文化祭当日。
翔と話すどころか、休む暇もないくらい、私はバタバタと忙しくしていた。


女子バレー部の出し物は、今年も輪投げ。
地味なものではあるけれど、去年予想外に子供達に好評で、それが嬉しかったからまたやることにした。

対する男子は、今年はたい焼き。
女子も数人そっちを手伝っていて、すぐ隣から漂う甘い香りが鼻をくすぐる。

男子もそれなりに協力的だけど、中心となって動いているのはやっぱり女子。
匂いのする方をちらっと見れば、「もう何やってんのっ!?」と、男子を叱る女子の声が聞こえて、苦笑した。

私の目はそのまま、ある人を探すけど……いない。

自由時間かな……。

手元に目を戻すと、少なくなってしまった輪投げの景品。

この調子でいけば、翔が店番に戻って来た頃には、私は手が空いてしまっていそう。

男子を手伝う……って言っても、人手は足りていそうだし。

「はぁ……」

私は誰も気付かないくらいの、小さなため息をついた。