13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「ふあぁー……」

大きなあくびをしながら、下駄箱に手を伸ばす。

長い長い……はずの夏休みは、あっという間に終わって、今日からまた学校。

部活で毎日のように来ていたとはいえ、まだ夏の高い気温が体と心を一層だるくさせる。



「うん……うん、分かった。じゃあ、池ちんに話しとくね」

階段を登ってすぐの教室。
その前で、ふたりの女子が立ち話をしていた。

「ありがと!」と言って、ひとりは教室に入って行くけど、その子が誰なのかは分からない。

いや、クラスメートだし、名前くらいはもちろん知っている。

ただ……誰なのか判断する余裕もないくらい、俺は廊下に残ったもうひとりの女子だけを見ていた。

すらりと伸びた手足は長く、そこら辺の女子よりも高い身長。
顔を動かす度に、ポニーテールが揺れる。

檜山……。

心の中で呼んだ瞬間だった。

「っ……!」

檜山はこっちに気付いて、驚いた顔をした。

その表情にうろたえながらも、

「お……はよ」

とりあえず挨拶すると、

「あっ、あっ!おはよっ!」

一言そう返して、檜山はパッと背中を向けた。