13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


そして目を潤ませて、ぶんぶんと頭を横に振る。

「ありがとっ……それだけで充分だからっ。藤原先輩があたしのこと考えてくれてただけで……あたしっ……」

何かの糸が切れたみたいに、ボロボロと涙を流す亜耶。

私はそんな亜耶の頭を、そっと撫でた。


一年前、亜耶と藤原先輩にどんなことがあったのか、私は知らない。

だけど、きっと亜耶は浴衣を着て、先輩とのデートを楽しみにしていたんだろう。

なのに――。


ヒュー……

突然耳に入った音に、考えるより早く顔を上げると、

ドーンッ。

夜空には一輪の大きな花が咲いた。

そして、パラパラと落ちる花びらを追うように、次から次へと花が咲く。

ふと隣を見ると、亜耶は頬を濡らして、切なそうな顔で、じっとそれを見つめていた。


一年前も同じように花火は上がったのに、亜耶は藤原先輩とそれを見ることはなくて。

先輩と見たのは私で……亜耶はきっとひとりだった。

想像しただけでも、胸が苦しくなるほど辛いのに、

亜耶は……亜耶だから……藤原先輩と笑顔で別れたんだと思う。