そして目を潤ませて、ぶんぶんと頭を横に振る。
「ありがとっ……それだけで充分だからっ。藤原先輩があたしのこと考えてくれてただけで……あたしっ……」
何かの糸が切れたみたいに、ボロボロと涙を流す亜耶。
私はそんな亜耶の頭を、そっと撫でた。
一年前、亜耶と藤原先輩にどんなことがあったのか、私は知らない。
だけど、きっと亜耶は浴衣を着て、先輩とのデートを楽しみにしていたんだろう。
なのに――。
ヒュー……
突然耳に入った音に、考えるより早く顔を上げると、
ドーンッ。
夜空には一輪の大きな花が咲いた。
そして、パラパラと落ちる花びらを追うように、次から次へと花が咲く。
ふと隣を見ると、亜耶は頬を濡らして、切なそうな顔で、じっとそれを見つめていた。
一年前も同じように花火は上がったのに、亜耶は藤原先輩とそれを見ることはなくて。
先輩と見たのは私で……亜耶はきっとひとりだった。
想像しただけでも、胸が苦しくなるほど辛いのに、
亜耶は……亜耶だから……藤原先輩と笑顔で別れたんだと思う。



