「亜耶、絶対浴衣で来ると思ってた」
「えー?急いで来たから、そんなの着替える暇なかったよ。……って、あたしってそんなイメージなの?」
「うん、すごく」
真顔で頷いた私は誉めたつもりだったけど、亜耶は「えー」と苦笑した。
「あっ、佳奈ちゃん!いちご飴、いちご飴買っていい?」
聞いたそばから、無邪気に屋台へ走って行く亜耶。
その姿に苦笑しながら、私は後を追い掛けた。
夜なのに、ふわふわと広がる白いスカートが眩しい。
明るくて、優しくて……とても女の子らしくて、亜耶は私から見ても可愛い。
なのに、どうして私だったんだろう。
藤原先輩が恋したのは、私だったんだろう……。
私はりんご飴。亜耶はいちご飴。
それぞれ手に持って歩きながら、亜耶は「わーい」と嬉しそうな声を上げる。
いつもと変わらない、その様子。
だけど、今日は少し大袈裟に笑っていること……私は気付いていた。
何も知らないフリをして、笑っている方が楽だと言った亜耶。
私も、黙っている方が全然楽。
だけど……
「亜耶、ちょっと話したいことがあるんだ」
足を止めて、私は笑顔を作った。



