13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



「亜耶、絶対浴衣で来ると思ってた」
「えー?急いで来たから、そんなの着替える暇なかったよ。……って、あたしってそんなイメージなの?」
「うん、すごく」

真顔で頷いた私は誉めたつもりだったけど、亜耶は「えー」と苦笑した。

「あっ、佳奈ちゃん!いちご飴、いちご飴買っていい?」

聞いたそばから、無邪気に屋台へ走って行く亜耶。
その姿に苦笑しながら、私は後を追い掛けた。

夜なのに、ふわふわと広がる白いスカートが眩しい。

明るくて、優しくて……とても女の子らしくて、亜耶は私から見ても可愛い。

なのに、どうして私だったんだろう。
藤原先輩が恋したのは、私だったんだろう……。



私はりんご飴。亜耶はいちご飴。

それぞれ手に持って歩きながら、亜耶は「わーい」と嬉しそうな声を上げる。

いつもと変わらない、その様子。

だけど、今日は少し大袈裟に笑っていること……私は気付いていた。

何も知らないフリをして、笑っている方が楽だと言った亜耶。

私も、黙っている方が全然楽。

だけど……

「亜耶、ちょっと話したいことがあるんだ」

足を止めて、私は笑顔を作った。