13センチの片想い。私とアイツの恋の距離




いつもは人なんてほとんどいない、静かな神社。
だけど今日、まるで別の場所みたいに沢山の人で賑わっているのは、ここが夏祭りの中心地だから。

その入り口の鳥居の前で、私はさっき呼び出した人を待っていた。


藤原先輩の時とは違って、それほど緊張はしていないけど、やっぱり胸の鼓動は少し速い。

落ち着くように「ふー」と、大きな息を吐き出した時だった。


「――佳奈ちゃんっ!」


真正面から、手を振って駆け寄って来る女の子。

真っ白でロングのスカートがふわふわと広がって、見るからに走りにくそう。

「ごめんっ!待たせちゃった?」

両手を顔の前で合わせて謝る亜耶は、部活の時みたいに大きく息を弾ませていて、汗が滲んでいた。

「走って来なくても良かったのに……」

私が小さな声で言うと、

「だって佳奈ちゃん、泣きそうな声してたんだもん。……でも、勘違いだったみたいだね。顔見たら安心した」

亜耶はにっこりと笑って、その言葉と笑顔に胸がキュッと苦しくなった。

「佳奈ちゃんに夏祭り誘って貰えて嬉しい。回ろ回ろ!」

笑顔のまま私の手を引いて、亜耶は神社の敷地内に入った。