13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


翌日、合宿2日目。

翔がまたバレー部に入るのか、気になった私は直接聞く事にした。

だけど、合宿は出席番号順で決められたグループで動くものが多く、休憩時間も人に囲まれっぱなしの翔には、なかなか近づけない。

合宿中は無理かな…。
帰ってから聞こうか…。

そう、諦めかけた時、意外にも翔と話す機会を作ってくれたのは、クラスメートの女子だった。



「檜山さん、檜山さん」
「…何?」

名前を呼ばれた私は、夕食を食べる箸を止めて顔を上げた。

「岡田くん知らない?」

何でみんな私に聞くかな。
昨日、私と翔の関係気にしてたくせに…。

そんな事を考えながら、クラスメートに答える。

「翔?まだ食べてるんじゃ…」
「それが居ないんだよね」
「え…」

食事の時に居ないなんて珍しい。
翔は小柄だけど、結構大食い。
最後まで食堂に残っているタイプなのに…。

「…」
「檜山さん?」
「あっ、ごめん。分からないや」
「そっか…ありがと」

ニコッと一度笑うと、クラスメートは諦めた様子で私から離れた。