13センチの片想い。私とアイツの恋の距離




「じゃあ、そろそろ帰る?」

オレンジ色の景色が、やっと黒に染まった頃。

涙の収まった私を見て、藤原先輩がそう切り出した。

「ついでに一緒に花火見たいとこだけど、佳奈ちゃん他に見たい人居んでしょ?」

意地悪に笑う先輩。

誰のことを指しているかは、聞かずとも分かって……私は否定も肯定もせず、少し困った笑顔で返事した。

「どうする?途中まで送っていこうか?」
「あ……いえ、大丈夫です」
「分かった」

先輩はベンチから立つと、私の真っ正面に立って、頭の上にポンッと手を乗せた。

そして、私の顔をじっと見つめる。

口角は上がっていて笑顔……なのに、その目はとても切なそうなもので、胸がチクンと痛んだ。

「じゃあ、気を付けて」
「はい……」

静かに手を離して、私に背を向けて歩き出した藤原先輩。

少しずつ、少しずつ、離れていく距離。

「……」

謝ったのに、許して貰えたのに、まだ心がモヤモヤするのは何故だろう。

先輩の後ろ姿を見ながら、理由を必死で探す……。


「――せっ!先輩っ!!」


先輩が公園を出る一歩手前で、私は声を張り上げて呼び止めた。