13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


頭の中では、いくつかの言葉が浮かんだ。だけど、何ひとつ口には出せなかった。

私が藤原先輩に言えることなんて、何もない……。

藤原先輩を傷付けた私が言えることなんて――。

引き裂かれるような胸の痛みに、眉間にシワを寄せた時、

「だから、佳奈ちゃんには感謝してるんだよ」

「え……」

思いもしなかったことを言われ、身体中の力が一瞬抜けるけど、

「気付かせてくれて、ありがとう」

そう微笑んだ先輩に、また胸がギュッと苦しくなった。

「そんなっ、お礼を言われることなんてっ……」

してない……と否定する私の視界は、涙で滲んでいた。

胸が苦しくて苦しくて、息が出来ないんじゃないかってくらい苦しくて。

許して欲しかったくせに、だから謝りに来たくせに……“許さないで”って、心から思った。

別れた時、すごく怒られたあの時の方が、随分と楽だったような気がする。

でも、こんなに苦しいのは……
藤原先輩の優しさのせいだって分かってる。

だから、

「……ありがとうございますっ」

私は震える声を、絞り出して言った。