私のことを、本当に好きでいてくれた先輩。
その先輩が、私と翔のことを簡単に容認してくれていたら、それこそ先輩が、気持ちを押し殺してしまっていた。
だから、先輩が私に怒ったのは素直な気持ちで、私はそれを受け止めなきゃならない。
「……ありがとう」
涙ぐんで首を振る私の頭に、先輩はポンッと手を乗せて、すぐに離した。そして、
「本当は……俺、佳奈ちゃんを怒る資格なんてなかったんだ。佳奈ちゃんと同じことを……ある女の子にしたんだ」
目を伏せて、どこか寂しげに話す先輩。
亜耶のことだ……って、私はすぐに気付いた。
「佳奈ちゃんにフラれて、やっとその子の痛みが分かった。申し訳ないことをしたな……って思ってる」
「……」
「あ、佳奈ちゃんを責めてるつもりじゃないんだ。こんなこと言って、ごめん」
「いえっ……」
言葉が出なかったのは、責められているように感じたからじゃない。
私は知ってる。藤原先輩と亜耶の関係を知ってる。
亜耶が先輩のことを悪く思ってないのも……知ってる。
だから亜耶の気持ちを伝えたいのに、それは出来なくて……もどかしい。



