13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


その瞬間、俯いた反動もあって、涙が太股に一滴落ちた。

「……佳奈ちゃん、顔上げて」

言葉と一緒に、そっと触れられた肩。

従うように、ゆっくりと顔を上げながらも、顔を見られるのは嫌だと思った。

いつものポニーテールにして来たのは、失敗。
どんなに暑くても、髪は下ろして来るべきだった。

泣き顔。それを見られるのが嫌で、無意味だと知りながら私は、目だけを藤原先輩から逸らした……のに、

「素直になったね」

目の前からかけられた言葉に、思わず先輩の顔を見てしまっていた。

素直?私が……?

向けられた言葉に、ただただ目を丸くしていると、

「自分の気持ち、押し殺さなくなったじゃん」

そう言って、藤原先輩は微笑んだ。

頭の中で、ふわっと浮かぶように思い出す一年前。

それは、翔と津田先輩が抱き合ってるのを見たのに、失恋したのに、素直に泣けなかった私――。

「ごめんって、謝らなきゃいけないのは俺の方。気持ち押し殺すな、とか言ってたくせに、岡田とのこと……あんな風に言っちゃってごめん」

今度は先輩が私に頭を下げて……私は喋ると声が震えそうで、ただ首を横に振った。