13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


汗ばんだ手で、握りしめていたケータイ。

ドキドキしながら、ゆっくりそれを開くと……写し出されたのは待ち受けで、着信もメールも来ていなかった。

「……」

ホッとしたようで、不安なような、とても複雑な気持ちになる。

――大丈夫、大丈夫。

私は自分に言い聞かせるように深呼吸した後、足を一歩、二歩と進めて、その敷地内に踏み込んだ。


青や赤、様々の色の遊具。

普段であればまだ、遊んでいる子供達がいるはずなのに、今日は誰もいない。
理由は分かっているけど、夕暮れに染まる静かなその光景は、とても不思議なものに見えた。

私がいるのは公園。
ちょうど一年前、藤原先輩と初めてちゃんと話をした場所。


「まだ来てない……」

やっぱり来てくれないんじゃないか……。そんな不安に襲われて、小さく肩を落とす。

だけど、待ってみようとベンチへ足を進めた時だった。

「――佳奈ちゃん」

背中から呼ばれた、懐かしい声と呼び方。

私はすぐさま振り向いて、その人の顔を確認した。

「久しぶり」

目が合うと、ニコッと微笑んだその人は……間違いなく、藤原先輩だった。