汗ばんだ手で、握りしめていたケータイ。
ドキドキしながら、ゆっくりそれを開くと……写し出されたのは待ち受けで、着信もメールも来ていなかった。
「……」
ホッとしたようで、不安なような、とても複雑な気持ちになる。
――大丈夫、大丈夫。
私は自分に言い聞かせるように深呼吸した後、足を一歩、二歩と進めて、その敷地内に踏み込んだ。
青や赤、様々の色の遊具。
普段であればまだ、遊んでいる子供達がいるはずなのに、今日は誰もいない。
理由は分かっているけど、夕暮れに染まる静かなその光景は、とても不思議なものに見えた。
私がいるのは公園。
ちょうど一年前、藤原先輩と初めてちゃんと話をした場所。
「まだ来てない……」
やっぱり来てくれないんじゃないか……。そんな不安に襲われて、小さく肩を落とす。
だけど、待ってみようとベンチへ足を進めた時だった。
「――佳奈ちゃん」
背中から呼ばれた、懐かしい声と呼び方。
私はすぐさま振り向いて、その人の顔を確認した。
「久しぶり」
目が合うと、ニコッと微笑んだその人は……間違いなく、藤原先輩だった。



