13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



藤原先輩と話をしたい日。

それは、いつの間にか始まった長い夏休みも、半分が過ぎた頃だった。


「お母さーん、ちょっと今から出てくるからー!」

玄関で靴を履きながら、大きめの声で「行ってきまーす」と続けて、ドアを開けた。

すると、すぐに目に入ったのは……浴衣姿の女の子。

同い年くらいのその子は、彼氏だろう人の隣で笑顔をキラキラさせて、とても可愛い。

対する私は、Tシャツにショーパン。

「……ははっ」

去年と変わらない、相変わらずな自分の姿に苦笑して、眩しいカップルの後ろを歩き始めた。


羨ましい。
浴衣という“女の子”の特別な姿も、手を繋いで歩く“恋人”という存在も。

でも――。


二手に別れた途中の道。私はカップルとは逆の道を選んで、迷うことなく足を進めた。

行きたい場所はカップルと同じ場所だけど、行かなくちゃならない場所は他にある。

その場所に近づけば近付くほど緊張して、走ってもいないのに息が上がった。


そして、その場所の前で……私は揃えるように足を止めた。