13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「いった……」

確かに感じた頬の痛みに、涙が浮かんだ。

夢じゃない……。

翔と話せたことも、
翔の言った言葉も、

夢じゃないんだ――。


トクントクンと静かに、だけど大きく鳴る鼓動。
それを抱きしめるかのように、私はギュッと膝を抱えた。


翔と話した時間は十数分。

その僅かな時間の、翔のちょっとした言葉に一喜一憂した私は、呆れるほどに翔のことが好きみたいで。

“もしかして”って期待して、裏切られたことは何度もあるのに……また期待してる。

でも、今回は本当に期待してもいいんだよね……?


翔の撫でてくれた頭にそっと触れると、堪えている気持ちが溢れそうになった。

私よりも身長の低い翔が、私の頭を撫でるその姿は、不格好だったと思う。

でも、翔の手は大きくて、温かかった――。



『だから、自信持てって』

『だから、先輩とちゃんと話して欲しいんだ』

自分がどうすれば良いのか、何をすべきなのか、翔のおかげでやっと見えてきた気がする。

やっと前に進める。


「……ありがとう」