13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「俺は、樋山と藤原先輩が付き合うのは……嫌だと思ってる。だから、先輩とちゃんと話して欲しいんだ」

「……」

翔から引き離そうとした、腕の力が途端に抜ける。
同じく翔の力も弱まって、するりと自然に離れた。

それって……。

胸の外側はドキドキドキドキうるさくて、内側はざわざわして、落ち着かない。

「ねぇ……それってどういう」

キーンコーンカーンコーン……。

一緒に心臓まで吐き出すんじゃないか。そう思うくらいに、やっと吐き出した言葉を、余令のチャイムが見事に邪魔をした。


「……あっ、やべっ!俺、次移動教室だった!じゃあなっ!」
「えっ?ちょっとっ……」

……逃げられた。

階段を一段飛ばしで登っていく、その後ろ姿を見ながら思った。

でも、同時にホッとしている。

だって、これ以上一緒にいたら、心臓がもちそうになかった。


余令が鳴ったということは、私も早く教室に戻らなければならない。

だけど、翔の足音が聞こえなくなるなり、私は全身の力が抜けたみたいに、その場にしゃがみ込んだ。

そして……頬をつねってみる。