もう嫌だ。翔の前から早く消えてしまいたい。
そう思った私は、また逃げようとするけど、「待て」という声と、私の腕を掴んだ翔の手によって、また阻まれた。
「離してよっ!」
「やだ」
「っ……」
もういいじゃん……。
これ以上苦しめないでよ。
涙目になりながら、キッと翔を睨むと、
「だって、分かってないだろ」
翔は、怯むことなく真っ直ぐに私を見て、そう言った。
分かってないって……
「分かってるわよ!先輩とっ……やり直して欲しいんでしょっ」
「違う」
「……え?」
即答だった。
まるで私の発言を予知していたみたいに、あまりにも早く否定された。
違うって……じゃあ、どういうこと?
さっぱり意味が分からなくなった私に、翔は「ほら、やっぱり分かってねーじゃん」と、小さく言って、
「俺は……」
何か続けようとして、止まった。
「……」
流れる沈黙。
「何?」と声をかけることは簡単なのに、何故だか声をかけてはダメな気がして。
ドキドキ、ドキドキ。
待っているこっちが緊張して、不安になる。
すると、やっと翔は口を開いた。



