♪佳奈side♪
「檜山さんは岡田くんの事好き?」
「………」
ドサッ
私は思わず、手に持っていたシャンプーや着替えの入った袋を落とした。
合宿1日目の夜。
お風呂から、十数人が泊まる部屋に戻って来て、すぐにされた質問はとても予想出来る物ではなくて、とにかく驚いた。
「その反応は、やっぱり好きって事!?」
「…まさか」
苦笑いを浮かべながら、落ちた袋を拾う。
「違うの?でも、仲良いよね?」
「中学一緒だったからね」
そのまま鞄に荷物を入れる私を、クラスメート達は取り囲む。
「それだけ?」
「…クラブも同じだったけど」
「えっ!?何部だったの?」
「バレー部」
冷静に答えてはいるけれど、ちょっと怖い…。
翔の事を好きだと言えば、いじめられるのだろうか。
「へぇーそうなんだ!」
クラスメート達は、驚きの声を上げるけど無理もない。
バレーボール=背の高い人。このイメージは絶対的なものだから。
「チビだけど…でも、あいつバレー上手いよ」
誰よりも高く跳ぶ、翔の姿を思い出す。
軽々しく跳ぶ姿は、まるで羽が生えたみたいで…
きっとこの思いの始まりは、あの姿。



