13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


♪佳奈side♪


「檜山さんは岡田くんの事好き?」
「………」

ドサッ

私は思わず、手に持っていたシャンプーや着替えの入った袋を落とした。

合宿1日目の夜。
お風呂から、十数人が泊まる部屋に戻って来て、すぐにされた質問はとても予想出来る物ではなくて、とにかく驚いた。

「その反応は、やっぱり好きって事!?」
「…まさか」

苦笑いを浮かべながら、落ちた袋を拾う。

「違うの?でも、仲良いよね?」
「中学一緒だったからね」

そのまま鞄に荷物を入れる私を、クラスメート達は取り囲む。

「それだけ?」
「…クラブも同じだったけど」
「えっ!?何部だったの?」
「バレー部」

冷静に答えてはいるけれど、ちょっと怖い…。
翔の事を好きだと言えば、いじめられるのだろうか。

「へぇーそうなんだ!」

クラスメート達は、驚きの声を上げるけど無理もない。
バレーボール=背の高い人。このイメージは絶対的なものだから。

「チビだけど…でも、あいつバレー上手いよ」

誰よりも高く跳ぶ、翔の姿を思い出す。

軽々しく跳ぶ姿は、まるで羽が生えたみたいで…

きっとこの思いの始まりは、あの姿。