ビクッとして、固まる体。
な、何……?
思いながらも振り返ることは出来なくて、指先が微かに震える。
「ちょっと待ってて」
え……。
一方的な言葉と、ガラガラとドアが閉まる音を残して、翔の気配は消えた。
『待ってて』なんて、何で……?
有り得ないくらいにドキドキしている胸が、気分を悪くさせる。
どんな顔して会えばいいの?
何を話すっていうの?
……やだ。絶対にやだ。
「……」
思わず泣きそうになってしまうくらい、翔と向き合うのが怖いのに……待っているのは何故だろう。
職員室のドア横の壁に背中を付けて、私は突っ立っていた。
なかなか出てこない翔。
自分のことを考えるのは苦しくて、何の用事だろう……とか、考えてみる。
翔だから、追試とか課題の未提出とか?
それとも……もしかして……。
不意に頭に浮かんだのは、私と同じ要件。
男子バレー部の部長に……って、話だったりして。
「まさかね」と笑ってみるけど、未だに職員室から出てこない翔に、胸がざわざわする。
……もし、もし本当にそうだったら、私は部長やめなきゃ。
翔との接点、増えたら私――。



