13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



私、何やってるんだろう……。

部長になることを承諾する形で話が終わって、私は自己嫌悪に陥りながら、職員室のドアに手をかけた。

「はぁ……」

小さくついたため息。

その時、力を入れていないのにドアはスライドされて、

「きゃっ!」

避ける余裕もなく、職員室に入ろうとした誰かとぶつかった。

「わっ!すみませ……」

目の前から聞こえた声は、途中で止まる。

その理由は、すぐに分かった。

ぶつかった相手は、私よりも背の低い男子。

ふわりと感じた香りに、聞こえた声に、胸が詰まって息が止まる。


今、私の瞳に映っているのは……翔。


「あ……」

ポカンと開いた翔の口から、声が漏れた瞬間。
私は翔の横をスッと通り過ぎて、職員室を出た。


久しぶりに翔と顔を合わせた。

たったそれだけのことが、心の泉に大きな波紋をつくる。

だけど、無視してしまったから、これでおしまい。
神様がくれたのかもしれないせっかくのチャンスを、私は自ら握りつぶした。

――なのに、


「檜山っ!」


肩を下ろして歩く私の背中に、名前を呼ぶ声が突き刺さった。