私、何やってるんだろう……。
部長になることを承諾する形で話が終わって、私は自己嫌悪に陥りながら、職員室のドアに手をかけた。
「はぁ……」
小さくついたため息。
その時、力を入れていないのにドアはスライドされて、
「きゃっ!」
避ける余裕もなく、職員室に入ろうとした誰かとぶつかった。
「わっ!すみませ……」
目の前から聞こえた声は、途中で止まる。
その理由は、すぐに分かった。
ぶつかった相手は、私よりも背の低い男子。
ふわりと感じた香りに、聞こえた声に、胸が詰まって息が止まる。
今、私の瞳に映っているのは……翔。
「あ……」
ポカンと開いた翔の口から、声が漏れた瞬間。
私は翔の横をスッと通り過ぎて、職員室を出た。
久しぶりに翔と顔を合わせた。
たったそれだけのことが、心の泉に大きな波紋をつくる。
だけど、無視してしまったから、これでおしまい。
神様がくれたのかもしれないせっかくのチャンスを、私は自ら握りつぶした。
――なのに、
「檜山っ!」
肩を下ろして歩く私の背中に、名前を呼ぶ声が突き刺さった。



