「え……私が部長、ですかっ!?」
静かなようで、ざわざわと忙しない職員室。
ショートカットが涼しげな池ちんは、小テストらしきプリントに丸をする手を止め、にっこりと笑顔で頷いた。
「色々話し合った結果、檜山が一番適任かなーってなって。……その顔は嫌?」
「いや……あの……」
下から顔を覗き込まれて、しどろもどろ返事する。
私を部長に……なんて、それは信頼されている証しで、素直に嬉しい。
でも……。
「まぁね、最近ボーッとしがちなのは気付いてるけど、これを機に気持ち入れ換えてみたら良いんじゃない?」
池ちんの発言は、私の思っていたことを、見事に言い当てていた。
そう。翔とあんなことになってから、私はなかなか部活に集中出来ずにいて……。
だから、そんな私が部長なんて、とてもじゃないけど気が引ける。
「……」
黙り込んで返事をしない私の両腕を、池ちんは「ね!」と軽く叩くように持った。
部長になったら、考えなくなるのかな……。
翔のこと……忘れられる――?
私はほんの少し口を開いて……でも、声は出せなくて、
躊躇いがちに一度だけ、こくんと頷いた。



