13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



「え……私が部長、ですかっ!?」

静かなようで、ざわざわと忙しない職員室。

ショートカットが涼しげな池ちんは、小テストらしきプリントに丸をする手を止め、にっこりと笑顔で頷いた。

「色々話し合った結果、檜山が一番適任かなーってなって。……その顔は嫌?」

「いや……あの……」

下から顔を覗き込まれて、しどろもどろ返事する。

私を部長に……なんて、それは信頼されている証しで、素直に嬉しい。

でも……。

「まぁね、最近ボーッとしがちなのは気付いてるけど、これを機に気持ち入れ換えてみたら良いんじゃない?」

池ちんの発言は、私の思っていたことを、見事に言い当てていた。

そう。翔とあんなことになってから、私はなかなか部活に集中出来ずにいて……。

だから、そんな私が部長なんて、とてもじゃないけど気が引ける。
「……」

黙り込んで返事をしない私の両腕を、池ちんは「ね!」と軽く叩くように持った。


部長になったら、考えなくなるのかな……。

翔のこと……忘れられる――?


私はほんの少し口を開いて……でも、声は出せなくて、

躊躇いがちに一度だけ、こくんと頷いた。