13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


「かーなちゃんっ。池ちんが呼んでたよ」

お昼の休憩時間。
頬杖をついて、開いたケータイを見つめる私に、亜耶が話しかけて来た。

「何?誰かからメール?」
「あ……ううん」

ディスプレイに映るのは、ただの桜の待ち受け。

「ちょっとボーッとしてた」

ケータイをパタンと閉じて苦笑すると、

「そう……」

亜耶は何か言いたそうにしながらも、「早く先生の所行っておいでよ」と、急かす。

「池ちん、何の用事って?」

池ちんこと池田先生は、女子バレー部の顧問教師。

「……行ったら分かるよ」

意味深に笑う亜耶を不思議に思いながら、私は席を立った。



あれから亜耶は……いたって“普通”。

藤原先輩のことを口にしなければ、翔のことも口にしない。

それはいつもの、“何も知らない、恋愛に疎い亜耶”。

そんな態度をもどかしく思いながらも、何も言えないのは……

“楽”だと亜耶が言ったから。


亜耶が楽ならそれで良い。
わざわざ辛い思いをさせることもない。

だから私は今の亜耶を、黙って受け入れていた――。