13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



「ほら、そろそろ帰らないと先生に怒られる」

言いながら先輩は、足元の荷物を持ち上げて帰ろうとする。

「はいっ」と短く返事して、俺もボールを体育館倉庫へ運ぼうと、足を動かしたその時だった。

「あ、岡田」

藤原先輩は何かを思い出したように名前を呼ぶと、

「あんまりモタモタしてたら、また佳奈ちゃん奪うから」

優しい笑顔を、イタズラなものに変えて言った。

普段の先輩からは想像つかないその言葉に、俺は思わずきょとんとするけど、

「……奪われませんよ」

すぐに目を細めて、返事した。