13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


『先輩と……復縁して欲しいの?』

あの日の檜山が脳裏に浮かぶ。

あの時、何も言えなかった俺が、今藤原先輩に何か言う権利はない。

しかも、すぐ後に檜山に『大嫌い』と言われてしまった。

やっぱり藤原先輩の方がいいや……そう檜山に思われたんなら、復縁したいと願われたって、おかしくない話だし。

でも……

こんなに胸がザワザワするのは何でだ?

苦しくて……悔しいような、やりきれないこの気持ち。

「別に……」

震えそうな声を絞り出して、「別にいいですよ」そう答えようとした時だった。


『翔のことが……好きだったの』


檜山の告白が、不意に頭の中で再生された。

何が別にいいって……?

良くない。
全然良くない――。


「……嫌です。檜山と先輩が付き合うの、俺は嫌です」


初めて……かもしれない。
藤原先輩に逆らうのは、たぶん初めて。

俺は、藤原先輩の顔を真っ直ぐ見て、そう言っていた。


「……」

藤原先輩は驚いた顔をする……けど、

「何だ、ちゃんと分かってんじゃん」

言いながら、小さく笑った。