13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「え……っ」

ピタリと固まる体。

藤原先輩はもう一度「いい?」と聞いてきたけど、俺には「はい」と答える以外に選択肢はない。

そして、少し間を置いて、先輩が聞いたことは……、


「翔は佳奈ちゃんのこと、好き?」


ドクンッと、心臓が一回大きく弾んで、
背中には冷たい汗が、ツ……と流れて、

言葉というものを、一瞬忘れかける。

自分が今、どんな表情をしているのか……それも分からないくらい動揺しながら、絞り出した返事は、

「……い、いや……」

藤原先輩の問いかけを、否定するもの。

本心がどうかなんて考える余裕なんてなくて、ただ“肯定してはいけない”その意識が先に働いた。

「ふーん……」

藤原先輩の、鼻先の返事は濁っていて……怖い。

何だよ……これで良いんじゃないのかよ。

大好きな尊敬する先輩。……なのに、こんなにイライラしてしまっているのは何故だろう。


「じゃあ……俺また佳奈ちゃんと付き合っていい?」


え……。

思わず目を見開く。

頭の中は、余計なことが全て消えたみたいに、藤原先輩と檜山のことだけになる。

また……付き合う?

それって、やっぱり檜山が――?