「え……っ」
ピタリと固まる体。
藤原先輩はもう一度「いい?」と聞いてきたけど、俺には「はい」と答える以外に選択肢はない。
そして、少し間を置いて、先輩が聞いたことは……、
「翔は佳奈ちゃんのこと、好き?」
ドクンッと、心臓が一回大きく弾んで、
背中には冷たい汗が、ツ……と流れて、
言葉というものを、一瞬忘れかける。
自分が今、どんな表情をしているのか……それも分からないくらい動揺しながら、絞り出した返事は、
「……い、いや……」
藤原先輩の問いかけを、否定するもの。
本心がどうかなんて考える余裕なんてなくて、ただ“肯定してはいけない”その意識が先に働いた。
「ふーん……」
藤原先輩の、鼻先の返事は濁っていて……怖い。
何だよ……これで良いんじゃないのかよ。
大好きな尊敬する先輩。……なのに、こんなにイライラしてしまっているのは何故だろう。
「じゃあ……俺また佳奈ちゃんと付き合っていい?」
え……。
思わず目を見開く。
頭の中は、余計なことが全て消えたみたいに、藤原先輩と檜山のことだけになる。
また……付き合う?
それって、やっぱり檜山が――?



