「……それってさ、俺に喧嘩売ってんの?」
「えっ!?いやっ、そんなつもりは……っ!!」
そんなつもりは全くなかった。
だけど、よく考えてみればそう取れる自分の発言に、ドッと冷や汗が吹き出る。
やばい……どうしよう。
焦りに焦っていたその時、
「……ははっ!」
堪えていた笑いが吹き出たみたいに、藤原先輩は笑って、
「ごめんごめん!冗談だから!」
顔の前で両手を合わせた。
「……」
何だ、それ……。
気が抜けて、呆然とする。
声を出して笑っていた先輩は、笑うのを止め、穏やかな笑顔を作り直した。
そして、
「聞きたいことがあるなら、聞いていいよ」
少し大きめの声で言われた言葉は、まるでエコーがかかったみたいに、静かな体育館に響いた。
聞きたいことは……、
檜山とのこと――。
でも、
「……別に何もないですよ?いきなりどうしたんですか?」
俺も笑顔を浮かべて……誤魔化そうとしていた。
すごく聞きたいことはあるのに、何故だか聞くのがすごく嫌に思えた。
「いや、ないならいいよ。じゃあさ……俺がちょっと聞いてもいい?」



